ホームズの故郷を訪ねて 2 
※ 日記で連載していたレポの再録です。
「英国の電車」 |
2004.04.24 |
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イギリスの交通は無銭乗車に厳しいと聞く。
悪意なく切符を買い間違えてしまった場合でも、問答無用で罰金。犯罪者扱いだそうだ。
(実際の所は単なるブラフで、謝って正規運賃を支払えば許してもらえるんじゃないの?という気もする。試してみる勇気はありませんでしたが)
いちいち切符を買ったりするのも手間だし時間もロスするので、基本的に1日乗車券の類を利用する事に。
大別してロンドン市内の地下鉄・バスと郊外まで走る電車(英国鉄道・BR)の2種類を利用します。
日本で手配できるものを出発前に空港で受け取ったが…。
今時、紙だよ…。しかも再生紙。最初から表面はケバケバで結構ボロい。
地下鉄の方は一部だけ磁気テープが貼ってありますが。
いえ、地球に優しくていいんですけどね。
パスだから使い捨てじゃないんですよね?最低でも1日券は1日中、使い倒す事を前提にしてますよね?今回、私たちが利用した中では最長7日間なんですがね。7日間、このボロめの切符を持たせろと?先にも述べましたが、ロンドンの気候は変わりやすいので、雨に濡れちゃう可能性も高いんですけどね?
・・・実際、帰る頃にはボロボロだったよ…。
で。キセルに厳しいはずの英国鉄道。検札はかなりいい加減だ。(罰則が厳しいが「故に」と言えるかもしれないが)
そもそもBRでは改札口がない。駅員もいない。
エジンバラ駅にいたっては駅のど真ん中を道路が走っていて、普通に車もバンバン通るし、どこからどこまでが駅構内なのかさえ分からない。(←危険。ひかれかけた)
基本的に検札は車掌さんの仕事のようだが、乗っているのが短時間だったり、車内が混んでいたりすると・・・。こねーよ、車掌。
逆に長時間乗っていたりすると、途中で車掌さんが変わる。新しい車掌さんは検札にきても
「もうチェックした?」
「はい」
「あ、そう」
・・・。おい。いいのか、それで?自分の目で確かめないのか?
英国人は性善説論者なのか?
一方、地下鉄の方は自動改札になっています。
・・・が!怪しいのは切符の方。
こんなボロい紙で切符の役割を果たせるのだろうか?と日本で抱いた危惧は的中し、磁気情報が果てしなくいい加減。
切符を通そうとすると「係員のところに行け」と表示が出ます。係員は切符をちらっと見て改札を手動で通してくれます。事情を聞いたりはしません。(聞かれても困るが)
いえ…。それでは根本的な問題解決にならないのですが…。このパス、1週間使うんだから。自動改札を通れるようにしてくれないと…。
しかも、日常茶飯事のようです。我々の他にも切符が通らない人はたくさんいたし、係員も慣れたもんだったし。
だーかーらー。抜本的な対策をしろってば。自動改札機が切符の情報を読めないなんて、日本じゃ聞かないぞ?(しかも…。ある時、突然通れるようになったし。何故だかは分からず)
小さな駅だと夜は無人になってしまうので、最初から改札を開放してあるし…。
自動改札の意味ないじゃん?
やっぱり、英国人は性善説論者なのか? |
「英国の電車2」 |
2004.04.26 |
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英国の鉄道の運行状況はかなりいい加減と聞く。
時間通りに到着しないのが普通だが、乗り継ぎ電車の方は待っててくれないので乗り遅れて1時間もロスしたとか。
乗っている途中でいきなり行き先が変わるとか。
遅れているからと言って、途中の駅を突然すっ飛ばすとか。
数々の恐ろしい体験談を聞く。
出来れば利用したくない気分になったが、そうも言ってられない。
空港に降り立ったその足で地下鉄の窓口(日本の定期券販売所みたいな感じの所)まで重いスーツケースをゴロゴロ押しながらえっちらおっちら移動。日本では買えなかった分のパスを全日程分購入。
窓口のお姉さん。「今日はストで地下鉄止まっているから。振り替え運行のバスに乗ってね」
・・・。いきなりかい。
いや、ストは労働者の権利です。文句を言ってはいけません。
窓口のすぐ近くだったと思われる地下鉄乗り場からバス乗り場に移動。・・・遠い・・・。
今回の行程では前半はロンドン市内を回り、後半に英国鉄道(BR)を利用して郊外に足を伸ばす予定。
ロンドンの地下鉄にも慣れてから、初めてBRを利用する、その朝。
駅にて。構内放送。「○時発、××行きの電車は車両故障の為、運休いたします」
・・・。またしても、いきなりかい。これには乗らないから影響はないけど。
と、いきなり不安にさせる出来事にばかり遭遇しましたが、実際はかなり正確に運行されていました。(除:スコットランドレイル)
友人の弁では上述の放送もかなり丁寧で「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが」と良く出来たものだったらしい。
それどころか、時間に正確すぎて案内放送が全くない電車さえあったよ。
停車時間は短い上に、快速なので駅間は長い。降りすごしたら一大事にもかかわらず「まもなく○○駅です」等の案内は全くなし。
時間を見て自己責任で注意しろって事かい?
(まあ、名古屋の車内放送はうるさいという意見も聞くので、名古屋人のじぇるさんはちょっと感覚がずれてるかもしれませんが)
因みに。古いものを修理して大事に使うお国柄。電車も例外ではありません。
今時、床が木だったり。シートが擦り切れていたり。スプリングが出ていたり。
日本だったらとっくの昔に払い下げなり廃棄処分なりになりそうな車両も、現役で頑張っています。
・・・だから、車両故障も多いのではなかろうかという気もしなくもないが、では使い捨て文化の方が正しいのかと問われると全面肯定もしかねるし、難しい所ですな。 |
「英国の電車3」 |
2004.04.27 |
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イギリスの鉄道(ヨーロッパ全般だったかも)は、その昔コンパーチメント(6人がけの個室)が主流だった名残で、個室がなくなった今でも対面式の4or6人がけのシートが多い。
鉄道を単なる移動の手段と捉えている日本とは異なり、「鉄道に乗る」行為自体を楽しむお国柄なのであろうか?
ごく普通の、JRで言う快速(主要駅しか止まらないから速いけど、特別料金はなし。)のはずなのに、車内販売が来たりする。
何よりビックリなのは、一部の座席には食堂車のようにテーブルがついてる!
何だか贅沢な空間だなぁ。
(・・・でも、地下鉄と同じくやっぱりゴミだらけなんだけどね。)
対面式のボックスシートという事は、座席の半分は進行方向と逆向きになる。
誰でも進行方向に向かって座りたいもの。
ロンドンは始発駅なので、列車は既にホームに入っており、どちらに動くか分からない。こういう時は周りの人に倣うのが定石。
・・・。
半々だよ・・・。車内ガラスキなのに・・・。
じぇるさん的にはあっちに進むはずなのに、背を向けている人が若干多いか?
でも、こっち側は線路切れてるはずなんだけど・・・?あれ?
方向音痴の自覚のあるじぇるさん、自分の方向感覚に自信が持てません。
方向感覚はあるはずの友人とは意見が一致したので、取りあえず世間に背を向けてみる。
・・・発車しました・・・。合ってるじゃん!!
いやいや、待て待て、ひょっとしたら途中で進行方向が変わるのかもしれないぞ?
だって、こんなにスキスキなのに、敢えて進行方向と逆に座る必要はないじゃん?
しばらく様子を見ていたが反転する気配なし。
路線図的にも、どこかで折り返すとはとても思えない。
結局そのまま電車は走り続け。
その後も何回も同じ光景に出くわし。
どうやら、進行方向と逆だろうと何だろうと気にならないようだ。
・・・。イギリス人、理解しがたし。
生物学的に、例えば三半規管が日本人より発達していたりして西欧人は酔いにくいとかあるんですかね?(何の根拠もない単なる思い付きで言ってますが)
まあ、いろいろな意味で日本人ほど細かいというか几帳面な人種はないらしいけど…。 |
「ロンドンの通勤電車」 |
2004.05.13 |
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紳士の国、イギリスにて。
時差通勤が浸透しているのか、たまたま我々の朝が通勤時間を外れていたのか、(恐らくはその両方だとは思われますが)実質的に通勤ラッシュの電車に乗ったのは1度だけだったのですが…。
驚いた事。
他人に触れてしまいそうな程度に混雑しているだけで、駅で待っている人は乗ってきません。
見送っています。すぐ次が来るかどうかも分からないのに…。(時刻表ありません。2〜7分おきと記されているだけです)
・・・まだまだ余裕で乗れると思うのですが・・・。
誰もが殺気立っている通勤時間に、何て紳士的なんだ。
人を押してまで乗り込むのは、ある意味、東京だけとも言えますが。
初めて東京の通勤電車に乗った時にはビビりました。
駅に着いた時点で既に空きはないと思って次を待とうとしたら、後ろから押されて何と真ん中近くまで押し込まれちゃったし。(まだこんなに乗れたのか)
長いシートの前って立っている人は2列になるだけのスペースしかないのに、3列どころか4列になっているのもザラだし。
何より、人の圧力で痛いし。
自力でバランスを取らなくても倒れる余剰空間さえないので、その点は楽と言えば楽でしたが。
大阪でもそこまで混んではいない。(いわんや名古屋をば)
うん、やっぱり紳士の国かもしれない。 |
「ロンドンの交差点」 |
2004.05.16 |
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NYでは。
信号の意味が違うとしか思えませんでした。
曰く。青=全速力で突き抜けろ。黄=加速して走り去れ。赤=周りに注意して突っ込め。
青信号で横断歩道を渡っているにも関わらず、轢かれかける事、多数。
歩行者側も信号なんか見てやしません。車が来るかどうかを見ています。
青だから渡るのではなく、渡れるから渡るのです。
片側3車線の大通りだろうと、平気で赤信号で渡っていきます。
・・・良く生きて帰ってこれたな、私・・・。
一方、ロンドンでは。
基本的に歩行者信号は全て押しボタンです。(確か。自動の歩行者信号を見た覚えがない)
押しボタン信号だと車の流れと連動していない事も多いので、車が切れれば赤でも渡ってしまいます。
NYと一緒じゃんって?
大違いです。
歩行者が待っているのを見ると、赤でもないのに車が止まってくれるんです。
特にバスとタクシー。おお、さすが紳士の国。
笑えたのは。
横断歩道に「右を見ろ」「左を見ろ」と親切に注意書きがしてある。
初めて見た時に「右を見て安全そうだったら渡ってもいいのか?それとも、例え青信号でも安全ではないから車が突っ込んでこないか注意しろって事か?」などと考えていたら、全く違ったよ。
「青になる前に車が止まってくれるかもしれないから、見ておけ」って意味だった。(らしい)
本当に紳士的な国だなぁ。
「国」と書きましたが、郊外では事情が違ったけどね。
ロンドン程、交通量多くないし。 |
「サークル」 |
2004.05.20 |
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イギリスではサークル式の交差点も多く見かけました。
「サークル式の交差点」ってお分かりになりますか?
その名の通り円形の交差点なんですが・・・。
交差点のど真ん中に円形の広場があると思って下さい。
その周りを一定方向に回ります。(イギリスの場合は日本と同じ左側通行なので右回り)
広場に通じる道が何本かあって、好きな所から出て行ってねという方式。
原則的には信号はありません。
ただ1つ、サークル内を回っている車が優先というルールの下で好きな時に入って好きなように出て行っていいという、無駄な信号待ちのない魅力的な方式。
三叉路だろうと五叉路だろうと、長い信号待ちなんてありえません。
電力の必要な信号もいらないし、エコロジカル!画期的ではありませんか!
要領の悪い人は、親切な人が入れてくれない限りサークル内に入れなかったりしますが。
方向感覚のない人は、回っている内にどこから出たいのか分からなくなったりもしますが。
・・・じぇるさんには乗れねーよ・・・。
いいの。今回、車乗らなかったし。日本にはこんな交差点ないし。(少なくとも私の行動範囲には)
ところが!歩行者としても害はあったのである。
つまり。いつ渡ったらいいのか分からない…。
困った時の奥の手、ジモティの真似をしようにも、そういう時に限って誰もいなかったり。観光客ばかりだったり。
何度か怖い目に遭いましたさ。(きっとドライバーの方がもっと怖かっただろうけど)
イギリスの「歩行者を見たら赤でも止まれ」という習慣は、こういう所から生まれたのかもね、とも思ってみたり。
良く生きて帰ってこられたなぁ。
※注
原則的に信号はないと書きましたが、交通量の多い所だとサークル式の交差点でも信号があります。
交通量が多いとサークル内が車が飽和してしまうので、侵入できる優先順位が発生します。 |
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