ホームズの故郷を訪ねて 5 

※ 日記で連載していたレポの再録です。
 


「バッキンガム宮殿」 2004.05.30
「後ろに見えますのが、かの(有名な)ビッグ・ベンでございます。」
2日目朝、ビッグ・ベンの足元から地下鉄を出る。
登れないけど。間近で見るそれはやっぱり感動物。写真と同じだー。(←何だと思っているのでしょう)
少し歩いていると9時。おお、この時計塔、鳴るんだ。

「右手に見えますのが超人気スポット「ロンドン・アイ」でございます」
・・・観覧車
国会議事堂やら王室御用達の教会やら宮殿やら、荘厳な町並みの真っ只中に観覧車?
激しく似合わねー。(観光客の勝手な思い込みなのは分かっているけど、イメージ壊れるからやめて欲しい…。)

首相官邸やら旧スコットランド・ヤードやら警備が厳しく一般公開されていない諸々の建物を外から眺めつつ。
バッキンガム宮殿に到着。本日のお目当ては衛兵交代
ガイドブックによると「ベストポイントを確保するには2時間前までに到着。少なくとも1時間待ちは覚悟しよう」との情報。
そこまで気合は入っていないが、それなりにしっかり見たいので1時間ちょっと前に着いてみる。
・・・人いないじゃん…。
あちらに2人、こちらに3人と数えられる程しかいません。あれ?気合入りすぎ?

せっかく早く集まった人々も宮殿正面で写真を撮ったり、柵の内側で何かしている兵隊さん(パレードとは関係なさげ)を見ていたりで場所取りをする気配がありません。
ベストビューポイントはどこなのさ?行けば(人が溜まっているだろうから)分かると思っていたのに。
某ネズミの国 in Japan では夜のパレードを見る為に、昼間からお父さんがビニールシート広げて何時間も場所取りするのに。
そんなイメージだったのに、それは日本人の悲しい習性なのか?
お蔭様で正面最前列至近距離(しかも、柵にもたれられる好位置)を確保して堪能する事ができましたが。
反対側の最前列にいたのも日本人(多分。韓国人と見分けはつかないけど)だったというのが少々物悲しかったりしなくもない。

衛兵交代に関しては情報が溢れかえっている程なので、ここでは割愛。

待っている間に。
例によって変わりやすいロンドンの天候。雨が降ってきたのでレインコートを着ようとした時の事。
横にも後ろにも人がいるのでぶつからないようにと狭い空間でゴソゴソとしていたならば。
後ろの女性が着せてくれました…。ありがとう、親切な異国の方。
・・・ひょっとして子供だと思われてた
日本人は幼く見られるので、10は簡単にサバ読める欧米ではありますが。ワタクシ、10年とったとしても子供にはならない妙齢なんですが…。

「スコットランド・ヤード」 2004.05.31
衛兵交代も終わったので、裏道を抜けつつ次なる目的地に向かう。
「左手に見えますのがスコットランド・ヤードでございます」

え?これ?確かに映画や漫画で見るそれだけど…。
こんな裏道に面していたとは。てっきり大通り沿いにあるのかと思っていたよ。
モ・チ・ロ・ン、中には入れません。(警察の中が見学できてもそれはそれで怖いが。)
観光スポットでもないのだが、ちょっと変わったもの好きの我々にはツボ。

友人が制服警官と写真を撮りたいと言うので、入り口を警備している方に声をかける。
…ってお願いしたのは友人だけど。
私は内心「怒られるんじゃないのか?」と思っていたが、意外にも「私?」と驚いた後、笑顔で応じてくれる。
どうやらお巡りさんと記念写真を撮る観光客は一般的ではないらしい。(←当たり前だ)
フレンドリーなり。(入口警備はいいのか?)


裏通りなので人通りも少ないのだが、行列を発見。
何だ?と思って近づいてみると、銀行のATM。ビルの外壁に埋まっています。
セキュリティも何もあったもんじゃありません。
私、今、お金をおろしたからひったくって下さいと言わんばかりに開放的。
因みに、イギリスではごくごく普通。
繁華街の人で溢れかえる通りでもATMは銀行の外だ。営業時間等で便利なのかもしれないけど。
・・・ここは自己責任の国、なのか?

「ウェストミンスター寺院」 2004.06.01
ウェストミンスター寺院
戴冠式やら国葬やら行われる英国王室と縁の深い教会。
おお、ニュースで見るのと同じだー。(←だから何だと思っているんでしょう、この人…)
入ろうとしたら、ガードマンに止められる。
「こっちは出口。入り口は横側に回って」
ちぇっ。正面から入れてくれないのー。

すぐ横にお土産物屋があったので、先に覗いてみる。
さすがに王室の教会だけあって、王室関連グッズがいっぱい
ダイアナ・女王・皇太子・王子らのブロマイドやら絵葉書やら。
・・・。
普通に美人で絵になるダイアナはともかく、こんなもん、誰が買うんだろうと思っていたら、地元の女子中学生風の少女が「キャー!!」と黄色い声をあげて上の王子の写真を愛おしげに買い占めていた。
そうか…、英国では王室はアイドルなのか…。
(因みに、数も種類もダイアナがダントツ人気)

クロスステッチコーナー発見
(ここまで書いてきて、やっと出てきた手芸ネタ。)
この教会や宮殿・英国旗なんかをモチーフにしたミニキット。キーホルダー。しおり。
イギリスはどちらかというと毛糸が主流と聞いていたが、クロスステッチばかり。
一角を占領していて結構な量だ。いいなぁ。

記念に少し買って帰るかと最初に手にしたしおり。10ポンド(約2000円)也。
・・・ありえねー・・・。
購買意欲も失せ、目的は金額チェックへと変わる。他のも大体、日本の相場の倍。
バブリーな英国ではお買い物はできません。。。

つづく。

「ウェストミンスター寺院2」 2004.06.03
角を曲がると入口どころか入口に通じる門も見えない内に、大行列のシッポが見える。
・・・これ、何?
取り敢えず私が並んでおいて、友人が先頭を確認しにいってくれた所、やはり入場待ちの列と判明。30分待ちって所か?
友人がきっちり組んでくれた行動スケジュール。そんな時間は計算に入っていない…。

ふと気付くと、前方にビッグ・ベンらしき尖塔が見える。
あれ?朝一に見たよ?あれからいっぱい歩いたよ?
因みに。
私が地図を見るとお約束のように必ず迷うので、友人が見てくれている。
「右手に見えますのが〜」。本日はバスガイド風の紹介つき。
…その結果、どこをどう歩いたのか分かっていないが、どうやら一周して元の場所に戻ってきていたらしい。
普通の人は実際に歩いたんだったら、自分で頭の中で地図を組み立てられるもんだろうと言われたが…。そんな高等テクニック、出来るわけないじゃん。(←開き直り。ていうか、本当に普通なんですか、それ?かなり方向感覚が良くないと難しいと思うのですが…)

列が進んでやっと入場できた。
どうやら入場制限を行っていた訳ではなく、ただチケットを購入して入るだけで人が溜まってしまっていたらしい。
中に入っても凄い人数だ。
日本語パンフレットがあったので、それを貰うと。
順路地図と共に見所紹介。「まずは○○と××(国王名。忘れた)の墓を探しましょう。」

話は飛びますが。
お寺 in Japan で見るべきもの。
建物。仏像。宝具。お庭。大雑把にこんなもん。
一方、教会だと。
建物は見所です。天井画やらステンドグラスやら。
偶像崇拝はしない(のがキリスト教だっけ?)ので、像はありません。祭壇には近寄れません。
そして、墓。著名人のお墓が晒しもの…。(というと言葉は悪いが)

小説なんか読んでいると「教会の地下の墓」という表現を良く見かける。
お寺の敷地内に墓地がある日本の常識を元に、「教会の(隣の墓地)の地下の墓」と脳内補正していましたが、違いました…。
本当に、普通に教会の建物の中にお墓があります。
中には床に「この下に○○が眠る」と彫られていて、その上を普通に歩いていたりするものまで…。墓碑さえなかったり。
死者を踏みつけしているようなんだがどうなんだろう、というのは宗教観から来る倫理観が異なるので何を申す気もございませんが。
同じく宗教観により火葬しないのに衛生的に大丈夫なんだろうかというのは気になったのであった。

いくつか教会を見た後にイギリスでは当たり前の事らしいと判明しますが。
ここが初っ端だったので、とにかくショッキングでした。
凄く待って入ったのに、お墓ショックしか覚えていないさ。
(歴代女王・王妃の戴冠式の際のドレスが展示してあったような記憶がかすかにあるが、ここだったかどうかあやふやだ。歴史的背景からここだと思われるが)

「ヴィクトリア&アルバート博物館」 2004.06.04
ヴィクトリア&アルバート博物館
刺繍モチーフの膨大なコレクションのある博物館。
じぇるさん的にここは外せないが、友人は興味がないそうなので別行動に。

ここも入館無料。入口の扉を入った途端、係りのお兄さんがパンフレットをくれる。
おお、無料なのにサービスいいじゃん。
でも…。この館内案内図、良く分からない…。
たった2階建てのくせに、どうして図が7,8枚にも分かれているのさ?
(どうやら特定の階段を使わないと行けない部屋があるらしいが、バラバラの地図を頭の中で組み立てられるような器用な芸当はできん)
仕方がないので、持参のガイドブックの略図を頼りにする事にするが、これ、日本語なんだよな。
当然ながら、館内の案内標識は英語なんだよな。大丈夫か?

基本的には好物は最後に残しておくタイプのじぇるさん。
でも、ここは1日では回りきれない大きな博物館。それを数時間で見て回ろうという無謀計画。その上、ウェストミンスターの予想外の待ち時間により更に時間は押している。
ここは大人しくお目当てから見て回らないと、泣きを見る羽目に陥りそうだ。
取り敢えずウィリアム・モリスの部屋に行くか。

モリスの部屋は1階のいちばん奥。(遠い…)
途中の展示室は全て単なる通路と化し、凄い勢いで通り抜けつつも面白い物は見落とさないよう視界は最大限に保つ。(疲れる…)
なーんかコーヒーの良い香がしているなぁと思っていたら、モリスの部屋があるはずの位置に何故か喫茶店が。(あれ?迷った?)

しばらくウロウロしてみるが、どう考えてもここがモリスの部屋のはず。
…と思ったら、上の方に「モリスの部屋」ってプレートがはってありました…。
上はじぇるさんの視界外だってばさ。

この部屋の壁紙がモリスのデザイン。らしい。
何しろ喫茶店になっているので入り口からこっそり覗いただけなので…。
オープンカフェだし、見学だけして注文せずに立ち去るのは可能だろうけど。一人のせいもあって気弱。残念。
(ていうか、こういう利用の仕方、やめて下さい…)

さて。メインのファブリック・コレクションに向かいましょうか。
・・・上る階段を間違えたのか、変な所に出る。あれ?今度こそ迷った?この建物、複雑だってば。
迷子になったら、今来た道を引き返して分かる所からやり直すのが定石。
でも、同じ道(=展示室)を2回通りたくない。ただでさえ時間が足りなくて回りきれない部屋があるというのに。
妙な拘りの結果、勘(←当てにならない)を頼りに適当に進む事に。
大丈夫か?


つづく。

「ヴィクトリア&アルバート博物館2」 2004.06.07
適当に歩いていたら、お目当てのファブリック・コーナーに到着。
やるじゃん、私。もっとも思っていた所とは違う所ではありますが…。

古くは15世紀からの各国の刺繍モチーフが展示されている。アンティークなお針箱なんかも。
圧巻ではあるけど、話に聞く程、膨大…かな…?
このコーナー、マニアック過ぎるのかほとんど人がいません。貸しきり状態。
ガラスに張り付くようにして細部まで観察できました。
道具や材料の質が違うからかもしれないけど、子供の習作のようだ。そんな所も面白い。

日本コーナー発見。
金襴緞子のコレクション。凄い…。これだけの数、初めて見たよ。国内にもないよ。(←いいのか?)
一角に着付け体験コーナー。

Kimono を着てみよう」という謳い文句のくせに、置いてあるのはどう見ても浴衣
パネル写真で着付け方法も解説されているが、それも浴衣。
…まあ、浴衣も着物の一種だからいいけどさ。
しかし。
浴衣にはね、半帯を合わせるのね。置いてあるソレ、袋帯って言うものなの。別物なの…。
これはいかんやろ?

パネル写真のモデルの兄ちゃん、せっかく日本人を使っているのに茶髪を通り越して金髪だし。
現代日本の若者像としては正しいのだが、外人さんの日本人像は台無しなんじゃ?

このコーナーに受けて写真を撮っている間に、人っ子一人いなかったのにいつの間にやら人だかり。
そそくさと立ち去る。
ごめんね。着付けてあげられるといいんだけど、ワタシ、人に着付けられる技術はないのね。
エセ日本人ですまん。
外人さんのグループが楽しそうに着始めましたが。
写真と向かい合わせで着ているから、左右逆になってるよ…。
それ、左前って言ってね、よろしくないんだよね。
…と教えてあげたいが、そんなコミュニケーション能力(英語力)はない。すまん。


つづく。

「ヴィクトリア&アルバート博物館3」 2004.06.09
図書館のような部屋に到着。
机と棚だけで、展示物がない。あれ?ひょっとして関係者以外立ち入り禁止?
棚には「○世紀・国名・刺繍名」と大分類らしきプレートがかかっている。
それにしても引き出しのいっぱいある棚だなぁ。
これはパソコンの普及で図書館から消えた、昔懐かし蔵書カードだろうか?

…などと考えつつ歩いていたら。
棚の間に閲覧者発見。引き出しを引っ張り出しています。
え?この引き出し、勝手に出していいの?ていうか、何が入ってるの?
手近な引き出しを引いて中を確認してみたところ。
おーまいがっ。これじゃん、刺繍モチーフ。

全部で何枚あるんだろう?単位は100じゃ収まらないね、千?万?そりゃ膨大と評されるさ…。
余裕かましてたけど、時間が足りん!!
それぞれ1つずつ見て、クロスステッチだけ全部見るか。それでもかなりの量だ。
片っ端から引き出しを開けてはしまって。
最後の方なんて、もはや目的を見失って刺繍自体はろくすっぽ見ていないような状態で。
・・・腕が痛い…。この引き出し、何でこんなに重いのさ。(それは保護の為にガラスも入っているからだ)

そして。取り敢えず端から端まで制覇した事に満足しつつ部屋を立ち去ろうとしたところ。
出口付近に、この部屋の収蔵方法に関してと思しき説明文が…。
こういうのは入口に置いておけよ!
…と思ったが、どうやら私が逆流していただけらしい。
迷子になった際に、正しい道を探すのを諦めたツケがこんな所で…。


巻いたお陰で少し時間が余ったので適当に歩いていたら(←懲りないヤツ)。
「ミサンガ(?)を編んでみましょう」やら、「貴族の紋章をデザインしてみよう」やら。
この博物館、体験型なのね。
時間を気にしつつもスルーせずにしっかりカジってまいりました。

「中世ヨーロッパの貴族に変身」コーナー。
首に巻く大きなレースが置いてあって。鏡にモーツアルトのかつらみたいなのが書いてあって。
誰もいなかったので、一人のくせに遊んでみる。
そこへ閉館20分前放送。まだ20分「も」あるのねと思っていたら。
変身の真っ最中に追い出しの係員が回ってきた…。見られた…。

大英博物館で学習しない私が悪いのですが。
閉館時間に出ればいいんでしょ?そこまでの時間配分は客にやらせてくれよぉ。

「切り裂きジャック ウォーキング・ツアー」 2004.06.13
ウォーキング・ツアーって体験した事ありますか?
私は初体験だったのですが、要するに縁の地を実際に歩いて回りながらガイドさんが色々と解説をしてくれるというもの。
今回のテーマはジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック。以下、JTR)なので、事件の起こった場所やら被害者の居住地やらを回りながらJTRについての話を聞きます。
所要2時間。歩きます。

予約は必要なしで駅に集合。
ガイドさんと上手く会えるのか?と心配していたが、杞憂だった。
参加人数、100人は下るまい。黒山の人だかりでした…。
彼はどうやらその道の権威らしく、彼目当てで集まっているらしい。

テーマはJTRです。当然、開催時間は夜です。
折りしも強い雨が降ってきました。川近くなので強風まで吹いています。
途中で止んでくれましたが。もうイヤ、ロンドンの天気。

100人の聴衆を前に、ガイドさんがまず時代背景の説明を始めました。
お立ち台、持参です。・・・どう見てもお風呂の椅子にしか見えませんでしたが。
強風の中にも関わらず、拡声器も使わずに後ろまでしっかり声が届いています。
でも、ね…。英語、分からん!!
(彼の発音自体はとても綺麗だったらしい。話も上手かったらしい)

途中で諦めて脱落した私。態度に出ちゃう私。友人の目が光った。

話が一段落し、次の場所に移動を始めた途端。
友人が怒涛のように通訳してくれた。それも固有名詞から年号まで具体的に。(元々知っていた訳ではない)
・・・アナタ、何者ですか・・・
聞いた端から抜け落ちていく私の記憶力とはえらい違いだ。
友よ、ありがとう。お陰で理解することが出来たよ…。

どこをどう歩いたんだか2時間以上(延びた?)少々治安の悪そうな場所を歩いて。
いい加減、体力的な限界を迎えようという頃にやっと解散。
何とガイドさんが著書、それも結構ぶ厚いハードカバー、を売り始めた。
10冊は売れていたと思うが、そんな重いものを持ち歩いていたのか。
しかも彼はまだまだ元気だ。

後に判明したが、彼はとても良いガイドであった。
話の構成や話し方が上手いだけではなく、移動時にどうしても長くなる列をさばく手腕もなかなかであった。



英国旅行記 その2へ   Top に戻る   英国旅行記 その4へ